「かいごの道」      

介護のこと。現役の介護支援専門員(ケアマネージャ)によるブログ。介護支援専門員の目から見た、社会情勢など。介護に関する相談は何でも受け付け予定!

【介護豆知識】特養に入所したい時にやるべき、2つのこと!

特別養護老人ホームは入れない、何年も待たされるというイメージがあるが、 実際は、本当に必要な人には案外入りやすい。

では、なぜ入りたい!と強く思う人が入れないのか?待機者が何十万人もいるのか?それはプロセスに対する理解が不十分だからだ。以下の2点を実施して、それでも入れない人は、まだ本当に入るべき時が来ていないかもしれない。在宅でやっていく道が切り開ける可能性があるので、希望を持って、ケアマネ等に相談しましょう。

 

特養入るために簡単にできることその1:入所のプロセスを理解する!

入所審査にあたっては、各特養に書類を提出し、その書類をもとに施設側が優先度を算出し、入所の必要性が高い(算出された優先度の点数が高い)方から入所となる。

 そして、その優先度に関する基準等はきちんと公開されている。基礎点となる介護度にプラスして、介護の労力や困難性を点数化していくのだ。

 

 入居申込書自体は実に簡略化されている。これが点数化されていく。

 (例:横浜市特別養護老人ホーム情報:横浜市 健康福祉局高齢健康福祉部 高齢者福祉の案内

入居申込用紙→http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/kourei/riyousya/shisetu/tokuyo-a.pdf

 

つまり、この申し込み書に、「加点ポイントを逃さず記入できるか」が、大切なのだ。

 

加点ポイント・入居選定基準の例

浦安市特別養護老人ホームの入所者選定基準/浦安市

3.主たる介護者の状況(最高点45点)

主たる介護者

1.身寄りも介護者も全くいない45点

2.主たる介護者が遠方または病気で長期入院中45点

3.主たる介護者が高齢者・障がい者または疾病があり在宅療養中40点

4.主たる介護者が育児中または複数の被介護者がいる35点

5.主たる介護者が就業している週40時間以上30点週20時間以上28点週20時間未満26点

6.上記のいずれにも該当しない15点

4.特記事項(最高点5点)

 その他緊急性、必要性の高い特殊な事情がある場合、入所検討委員会において、優先入所の審査材料とする。

 

特別養護老人ホームの入所基準 |東京都小平市

 考慮すべき特別な事由

《特別な事由とされる例》 5点を限度●在宅生活において、本人と介護者(家族)の関係に問題がある

 

船橋市|船橋市指定介護老人福祉施設入所者選定基準

船橋市では、介護の必要性の高い方から優先的に特別養護老人ホームに入所できるよう、市内全ての特別養護老人ホームで共通した入所者選定基準を作成しています(申し込みの早い順ではありません)。
基準は、公平な選定ができるよう、介護に係る労力の程度や在宅介護の困難性などの項目を点数化しております。

その他特殊な事情

主たる介護者の病名が癌や難病等の場合、10点加算する。

その他特殊な事情がある場合、その都度個別に審査し加算点を決める

 

三鷹市 |三鷹市特別養護老人ホーム優先入所指針

住宅の状況 住宅の介護適応性 - 住宅に介護上の問題があるが改修ができない 2
住宅の状況 住宅の介護適応性 - 住宅に介護上の問題がある 1

 

このように、個別の加算ポイントがたくさん用意されている。逃さずに記入すれば、ポイントを稼げる。市町村で加点が違うが、考え方は同じだ。諦めず、加点になりそうなものは記入したほうがいい。

質問事項に関する答えだけの申し込み書類を出した場合、見えない事情は反映されにくい、つまり加点がつかない、そうすると、勿論入所の優先度は低くなる。自由記入欄にも、上記の加点ポイントを抑えた記入が必要だ。

わたしは、特記事項をレポート用紙3枚びっちり書いて一緒に提出したことがあるが、すぐに入所がきまった。優先順位の順番は非公開なのだが、一桁台だったということは教えてくれた。

 

加点で、よくあてはまりそうなのが、介護者がいるが色々な事情があり面倒を見れないケース。こんなことでも、加点がつく。そんなものは、ただの主観でしか過ぎないという意見もあろうが、介護者にとって大変なら、介護される方も大変なのだ。介護者が男性か女性かでも、捉え方も、だいぶ違ってくるだろう。病気だって、実際に名前のつく難病からそうでないものまで、色々ある。当事者にとって辛ければ、それはもう立派な病気なのだ。介護地獄に陥って心中する位なら、あるいは自宅で一人動けなくなり孤独死する位なら、誰がなんといおうが、できないことはできないと言ったほういい。

 

 

そうやって、特養にどれだけ、アピールできるか、どれだけの思いがあり、自分や家族の入所を望んでいるか、「人生の終の住処」といわれる特養に入所するのだから、それはもう、就職活動以上の一世一代の大勝負だ。どこで死ぬのかを決めるのだから。

その覚悟で申し込まなければ、介護保険料を利用して入所する価値がない。

 

各市町村、都道府県などが基準を公開しているので、申し込みたい場所で、加点の確認を。

 

 

特養入るために簡単にできることその2:探す範囲の拡大を!新設施設の情報をゲット!

ただし、加点にも限界がある。

また、見ての通り、市町村によって、加点の違いがあるので、同じ状況でも入りやすい特養と入りにくい特養があるのが理解できる。どうしても早急に入所したいのならば、入りやすい特養を探して、申し込むことも必要となる。

 区内や市内ではなく、都内・県内あるいはその外まで、探す範囲を広げる。なおかつ、福祉保険局や市町村役場等で新しい特養の情報を得る。

新設施設は、このようにたくさん公開されている。

 

完成予定の老人福祉施設(特別養護老人ホーム等)の公表について 東京都福祉保健局

http:// http://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/000041361.pdf

 

新しい特別養護老人ホームは、一度に何百人も入所できるため、ものすごく入りやすい。本当に入りやすい。

また、重介護度に偏り過ぎないように配慮されるため、基礎点が低い介護度の軽い方でも、入所できる可能性が大きい。こうなってくると情報戦だ。きちんと情報を得て、申し込むことが必要だ。ただし、新しい施設がよい施設ではない。新規採用職員も多いため、職員の教育面などでデメリットもある。

 

話が少しずれるが、どうしても言いたいので、書いておく。

介護保険利用者などで、「金を払ってるんだぞ!」と勘違いしてクレームばかり投げてくるのがいるが、介護保険というものは一方的に与えられるだけのものではない。

大体40歳以上になると、介護保険料は徴収されていく。つまり40歳以上の人は金を払っている。ただ単純にサービスだけが欲しいのならば、その人は介護保険を利用する資格の無い人である。自費で召使でも雇うほうが賢いと教えてあげるべきだ。地域や社会や制度といったものは、一緒に作り上げる気持ちを持つことこそが大切である。その理解を得ることも、ケアマネージャーの仕事だと思って、私は、いつも、ご利用者にお願いしている。

あなたに関わる、例えばヘルパーやデイサービス、決して任せきりにするのではなく、あなたのサービスを一緒に作ってくださいと。

だから、施設も一緒につくりあげるべきだ。そういう思いを持てるご利用者には、新設の施設をお勧めする。高齢者が若者を育ててくれると、介護保険も活性化していくだろう。血気盛んな利用者と言い合いになることもあるが、それは必要なこと。恐れず誇りをもって、仕事をすべき。

 

介護保険はみんなのもの!

本当に必要な人が必要な時に利用して、安心して暮らせますように!

思いがあれば、それを伝えられれば、きっと道は開けます。