「かいごの道」      

介護のこと。現役の介護支援専門員(ケアマネージャ)によるブログ。介護支援専門員の目から見た、社会情勢など。介護に関する相談は何でも受け付け予定!

【介護現場】ごみ屋敷の中で、止まったままの時間。

介護支援専門員の仕事をしていると、ごみ屋敷と呼ばれるケースにも、あたります。

色々な事情があるので、一気に掃除する場合もあれば、時間をかけて少しずつ片付けていく場合もあります。

 

ごみ屋敷ではゴキブリなんて、愛らしい生き物で、イヤなのはねずみです。

ねずみは、本当にものすごく増えていきます。食べ物はもちろん、せっけんまで食べてしまいます。そして、頭が良いからなかなか掴まりません。毒物をおくと、非常に困ることに、たんすの裏や布団の隙間で死んで腐ってしまいます。だから、ねずみホイホイみたいのを置いて捕まえますが、ちゃんと避けて通るのです。たまに掴まりますが、もちろん高齢者では処理できないので、ヘルパーさんなどが捨ててくれます。若いヘルパーさんもたくさんいます。ねずみも、なかなか息絶えません。粘着剤にくっついては、啼いています。

都市部で普通に生活していたら、あまり経験しないことですが、嫌な顔せず、やるのです。頭がさがります。これで時給1000円とか、誰が考えても不思議です。

あと、虫も増えます。団地の3階がごみ屋敷だったケースは、その団地の1階まで虫が増えました。団地中でものすごく増えました。うじとかは、やっぱりちょっと、ぞっとします。でも、放っておくことはできないのです。みんなで力をあわせて、がんばるしかないです。

 

信販売で買ったものを、一度も開封しないで、貯めていったりなんていうのは、かわいらしいものです。廊下中が埋まっても、まだかわいらしいものです。

でも、そのうち、ごみの山でトイレのドアさえふさがって、トイレにも行けないから、オムツにして、そのオムツをごみの山の上に捨てたり、そうなってくると、やっぱり大変です。そうなってからでは、どうにもできないのです。

 

 

高齢になると、特に脳の認知能力が衰えていくので、なかなかこういった非常事態をわたしたちと同様に受け止めることができません。家族や地域が機能していない現代社会では、他に気がつく人も少なくなっています。家の中の様子は、ドアを開け放さないと見えないのです。

そうして、どんどんど立派なごみ屋敷になるのです。

 

ヘルパーさんだけでは人手が足りないので、ごみ屋敷の掃除にはよく駆り出されます。10年前の賞味期限のものが冷蔵庫に・・・なんてよくある話で、30年前のバターとか調味料とか、40年前のウィスキーとか、古銭とか古切手とか、価値のあるものが、そこかしこに眠っていたりします。

そんな品々をみて、時間がずっと、止まっていたんだなと思うと、少し感慨深くなります。どんな事情があって、この家の時間は、止まったんだろうと。

 

この社会に、この町に、そうやって、知らず知らずに、時の流れから置いていかれた家が、いまたくさんあります。電気も水道も、ガスもとまりかけて、まっくらな部屋でどうしたらいいかわからない人も、思うよりも、多くいます。

 

その人たちを、また社会とつなげること、それも介護支援専門員の仕事だとおもっています。