「かいごの道」      

介護のこと。現役の介護支援専門員(ケアマネージャ)によるブログ。介護支援専門員の目から見た、社会情勢など。介護に関する相談は何でも受け付け予定!

【介護保険崩壊】どうなるアミーユ、どうなる介護保険

 

アミーユ問題続きです。これはこの国の今度を決める大きな大きな問題だと思います。なので、しつこく行きたいです。

 

前回→

【介護保険崩壊】介護施設の虐待・転落死問題 - 「かいごの道」

 

 

アミーユの問題、あれほどのことがあったのに、事件として報道されるまでかなりの時間を要しています。これこそが異常事態です。それほどに、過酷な勤務だったのかは、わかりません。けれど、誰かが、もっと声をあげれば、もっとはやく叫べば。

それがとても悔しく感じます。

介護の仕事についている一定の割合の人が介護の仕事を好きです、大好きです。ポジティブな情報を発信してくれている団体もたくさんあります。介護はすてきな仕事だと思います。排尿や排便の処理は、まったく介護の本質ではありません。初心にかえりましょう。民間企業の食い物にされ、厚生労働省にお荷物を押し付けられている現状を脱却したいです。

いま、介護に実際に関わる人たちが声をあげなければ、何も変わりません。アミーユにいる人たち、その他劣悪な環境で働かされている人たち、声をあげてください。そんなことを考えてたら、よい声明をみました。

 

東京北部ユニオンは、本日9月11日に行ったアミーユ支部会議及び執行委員会の会議をもって、以下の声明を発表しました。

rentaiunion2007.blog105.fc2.com

 

介護業界は食っていけない低賃金が蔓延し、離職が後をたたない。介護現場そのものが崩壊している。
したがってこれは、Sアミーユ川崎幸町だけ、あるいはアミーユだけの問題ではない。すべての介護職場の問題だ。

 

その通りです、介護現場が崩壊しています。すべての介護に関わる人がいっしょに考えたい問題です。自分の将来のためにです。

 

 

 

 

「介護現場の崩壊」と言えるこのすさまじい状況の根本原因は、2000年の介護保険制度導入によって、介護が「儲けるための産業」にさせられたことにある。1円でも多く儲けるために、労働者をとことん低賃金で働かせ、できるだけ少ない人員で職場を回させ、金のかかる安全対策はないがしろにされてきた。また、介護の知識や経験がない他業種の資本が儲けるために参入したことも、介護現場を劣悪にした大きな要因である。

 

 

 

 メッセージグループは、かの「コムスン」承継企業である「ジャパンケアサービス」などを子会社化し、今やニチイ、ベネッセに次ぐ介護業界トップ3に入る大手資本として急成長してきたが、それは、行政と一体となって、規制緩和と限度を超えた合理化をおこなった結果だ。

 

 

サービス付き高齢者住宅を推進し、定期巡回制度を介護保険に組みこみ、極端な合理化を勧め、また色々な企業と提携しながら成長をしたのが、メッセージの特徴だと思います。介護保険という公的な皆保険の制度を民間企業の営利にしてしまったことで起きたのです。コムスン問題も大きな事件でしたが、承継した会社はメッセージの子会社になり存続しています。ブラック企業と否定された「ワタミの介護部門」は損保ジャパンに売却されるようです。損保ジャパンはすでにメッセージと業務提携をしています。まるで介護村です。

 

www.nikkei.com

 

私たちは、Sアミーユ川崎幸町での一連の事故の一切の責任は会社にあると考える。決して、労働者個人の責任にして幕引きするようなことがあってはならない。

わたしはやはり個人の責任が無いとは言いきれないと思います。この事件は色々な側面がありますが、弱者を暴行することは犯罪です。もし、介護の仕事が嫌いで仕方なくやっている人はまず、この業界から去ってほしい。お金も大して稼げません。ここに残っても、あなたには犯罪者になる道しか残されていないのです。ただ、前回のエントリにも書きましたが、情状酌量や減刑の余地はあります。

けれど絶対に個人の責任だけで終わらせてはならないと思います。

 

そもそも、劣悪な環境で働かされている介護職のみなさんは、介護の仕事をしているのではなく、企業の奴隷にされているのです。そこには一切の介護の理念は通用しません。そこは介護の現場ではないのです。

長時間勤務や夜勤、過剰な精神労働、イメージダウンを恐れる企業の過剰なリスク管理を強いられ、判断能力の低下した状態で、なお目の前の高齢者や共に働く仲間をおいていくこともできず、目の前の高齢者のふとした瞬間にほとばしる生の熱情や喜び、身体や命全体で表現される感謝に自己のアイデンティティをかけさせられてしまっているのです。きれいごとで紛らわされているのです。追い詰められぐるぐる巻きにされて、身動きが取れないのです。介護の仕事をしているように見えて企業の奴隷です。ただそれだけです。

 

いま、業界大手の企業が問題になっているのは、わたしたちの大きな大きなチャンスです。このチャンスを活かさなければ、アミーユはもちろん、介護業界全体にも未来がありません。こんなに大きなチャンスは滅多にありません。このままでは、介護保険が死んだ保険となり、保険料を納めるだけの将来が待っています。介護に関する人たちが、それ以外の人たちが、よいことわるいこと、どんどん声をあげること、それだけがいまできることであると思います。

 

またつづきます。